アランカーディガンを編む(1) どんなデザインにしよう?

制作記録

「アランカーディガンを編みたい、せっかく編むなら自分でデザインしたものを!」と自ら勝手にハードルを上げたがために、なかなか手をつけられずにいまして…。本を見たりネットで素敵な作品を見かけたりすると、別に誰に頼まれたわけでもなく、締め切りがあるわけでもないのに、「はあ、カーディガン…」と心の片隅にずっと引っかかっていました。
そんな数年来の自分の課題にようやく着手。ということで制作の記録です。

どんなカーディガンを編みたい?

私は編み物を習ったことはなく、デザインや製図もきちんと勉強したことはありません。
大きな物を編むときは特に正しい手順や方法をわかっていた方が効率はいいのでしょうが、「お勉強」にしてしまうと急にやる気をなくすタイプ。自分なりに試行錯誤して編んでいきます。うまくいかなければほどいてやり直せばいいんだし。
とは言え最初のイメージは「長く着られるベーシックなデザイン」「ラグランスリーブ」「ハイネック」「色は生成り」とかなりざっくりとしたもので、どう形にしていこうかとちょっと気が遠くなります。

模様を決める

アラン模様と一言で言っても交差編みの組み合わせ方や柄の配置のしかたは無数で大いに迷います。
ただ、最も一般的なケーブルと大好きなハニカム模様は封印してなるべく今まで使ったことのない模様で構成してみたかったので模様集を参考にああでもない、こうでもないと何度も試し編みを繰り返しました。

模様を考えるときによく使うのが「模様編1000」。模様集はいろいろとありますが、この本はいろいろなタイプの模様を棒針編みもかぎ針編みも幅広く網羅していて頼りになる1冊です。

凝ったケーブルのバリエーションが数多く、眺めているだけでも楽しい「Knitted Cable Sourcebook」。チャートがわかりやすいので英語が苦手でも十分理解できると思います。作品もいくつか掲載されているので模様の展開のしかたのヒントにも。

Norah Gaughan’s 著

最初のうちはあれもこれもと盛りたくなるもの。でも太い糸で編むのだから小物に比べて面が広く見えても意外と目数が限られているのですよね。欲張ると収集がつかなくなるので、メインに大きめの模様を一つ決めて、あとは目数の調整しやすい模様を配置することにしたら案外シンプルな模様になりました。

糸はアヴリルのワッフルに

糸は前から使ってみたかったアヴリルのワッフルにしました。50gとか 40gの玉巻きだとあっという間に糸を替えることになり、後の糸始末も面倒なので、大容量のコーン巻きというのもありがたいポイントです。

500gと300gのコーン巻

ワッフルは仕上げに軽く揉み洗いをして縮絨すると風合いが良くなるそうなので、どのくらい縮むか確認のための試し編みは必須です。
最初は撚りがしっかりとかかって少し固めの糸だったのが、水を通すとふわっと膨らみ、編み目が隙間なくキチッと揃います。もうこの小さな編み地だけで完成後の仕上げを想像してテンションが上がります。

左が編んだままの状態、右が水を通して軽く縮絨した物です。

肝心の縮率は幅が約95%、縦が約96%でしたが、針の号数や手加減によって変わるので本番編みの前に必ず試してみましょう。

サイズを決める

本来ならきちんとゲージを取るべきなのですが、私は模様編みのスワッチと勘でサイズを割り出していきます。編み地が決まっても全体のイメージがまだぼんやりとしているから、ある程度編んで見たときに気が変わってしまうかもしれないし。半ば編み直し覚悟なのです。

編みたいイメージに近い既成のパターンを参考にしたり、手持ちの服のサイズを計ってみたりしながら、ひとまず身幅と着丈だけ決めます。模様がうまくはまるように、そして仕上げで縮むことも考えながら目数と段数を調整してみます。

今回とても参考にさせてもらったのが「世界の伝統ニット」シーリーズからアランセーターの本です。
流行に左右されないベーシックなアランの作品集なので、パターン通り編むのはもちろん、模様の組み合わせ方、糸選び、サイズ感、パーツごとの編み方などオリジナルを編むときにも役立ちます。

製図の本を見ると自分がいかにいい加減にサイズと形を決めているかと反省させられますが、普段何気なく見ている編み図をより深く理解するのにも役立つので手元に置いておいて損はありません。針のサイズを1号変えると編み上がりのサイズがどれくらい変わるかというようなサイズ調整のヒントや、体のパーツごとの一般的なサイズ表も載っているので便利です。

編む前の準備はここまで。しかし、ラグラン線の減目のことも、袖のことも、この時点では決めていません。さて、無事編み上がるのか…?

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